東京地方裁判所 昭和51年(ワ)10039号 判決 1981年4月20日
原告 ワイス マニユフアクチユアリング、デイビイエイ カリフオルニア テイーシヤツ
被告 株式会社ユニバース販売
主文
一 被告は原告に対し、金二六万七四一六円及びこれに対する昭和五一年一一月二〇日から支払ずみまで年五分の割合による金員の支払をせよ。
二 訴訟費用は、原告に生じた費用の五分の一を被告の負担とし、その余を各自の負担とする。
三 この判決は仮に執行することができる。
事実
第一当事者の求めた裁判
一 原告
主文同旨の判決及び仮執行の宣言
二 被告
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
第二当事者の主張
一 請求の原因
1 原告は、アメリカ合衆国カリフオルニア州法により設立された法人であり、テイーシヤツ等の卸及び小売販売を業とするものである。
2 日本国及びアメリカ合衆国がいずれも加盟している万国著作権条約第二条第一項は、「いずれかの締約国の国民の発行された著作物及びいずれかの締約国で最初に発行された著作物は、他のいずれの締約国においても、その締約国が自国で最初に発行された自国民の著作物に与えている保護と同一の保護を受けるものとする。」とのいわゆる内国民待遇の原則を規定しており、日本国著作権法第六条第三号の規定によれば、「条約によりわが国が保護の義務を負う著作物」は、同法による保護を受ける著作物とされるので、アメリカ合衆国カリフオルニア州法により設立された法人である原告により発行された著作物は、日本国が自国で最初に発行された自国民の著作物に与えている保護と同一の保護を受けることになる。
3(一) 別紙目録(一)の図案(以下、「本件原画」という。)は、原告の発意に基づき原告の業務に従事する者が職務上作成した著作物で(後記(二))、原告が自己の著作の名義の下に公表したものである(後記(三))から、日本国著作権法第一五条の規定により、原告が本件原画の著作者であり、したがつて著作権者である。
(二) 本件原画は、後記(三)の方法によりテイーシヤツに模様として印刷された図案の原画であるが、下方に花の模様を、両側にイルカの躍動的な動きを配置し、中心に波にもまれたサーフアーの姿を描いた、全体として躍動感を十分感じさせる図案であり、特に図案の配置及び構成等にアメリカ人特有のものがあつて、とても日本人には描けないものであり、したがつて、思想又は感情を創作的に表現したものであるということができ、また、鉛筆で輪郭を描いた後にペイントで着色して仕上げるという手法、すなわち油絵を描くのと全く同一の手法で作成したものであるから、日本国著作権法上美術の著作物に当たる。
(三) 原告は、昭和四六年ころアメリカ合衆国において本件原画をテイーシヤツに模様として印刷してこれを販売し、もつて、本件原画を発行(公表)したものである。
なお、原告が本件原画をテイーシヤツに印刷する方法は次のとおりである。
まず、本件原画を写真に撮り、そのネガをカラー分解し、赤色しか出ないネガ、黄色しか出ないネガ等四色ないし六色に分解し、それらのネガを利用して四枚ないし六枚のシルク・スクリーンの上に各同一色の被写体を写し出し、その上に薬品を塗つて電気で焼き、その後薬品を水で洗い流すと、色のついた部分の薬品が取り除かれる。こうしてでき上つたシルク・スクリーンをテイーシヤツの上にのせ、上からカラーペイントすると薬品が取り除かれた部分のみが染色される。このようにして、色彩の異なるシルク・スクリーンを四枚ないし六枚使用すると、本件原画と全く同一のものがテイーシヤツ上に印刷される。
(四) 以上のように、本件原画は、アメリカ合衆国の法人である原告の発行された著作物であるから、日本国著作権法第六条第三号、万国著作権条約第二条第一項の規定により、日本国著作権法による保護を受けるものである。
4 被告は、昭和五〇年六月ころ、別紙目録(二)の図案をテイーシヤツに模様として印刷し、これを販売した。
5 別紙目録(二)の図案は、原告が本件原画を原画として前記3(三)の方法でテイーシヤツに模様として印刷したものを複製したものであり、被告は、原告の許諾なく、別紙目録(二)の図案をテイーシヤツに模様として印刷し、これを販売したものであるから、故意又は過失により本件原画の著作権を侵害したものであり、右不法行為によつて原告が被つた損害を賠償すべき義務がある。
しかして、原告は、本件原画をテイーシヤツに模様として印刷し、これを販売しているものであるから、著作権法第一一四条第一項の規定により、被告が本件テイーシヤツの販売により得た利益の額と同額の損害を被つたものと推定されるところ、本件テイーシヤツの仕入、印刷等に要した費用の合計額は一六一万三六〇〇円であり、本件テイーシヤツの販売による売上金の合計額は一八八万一〇一六円であるから、被告はその差額二六万七四一六円の利益を得たことになり、原告はこれと同額の損害を被つたことになる。
6 よつて、原告は被告に対し、本件著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償として前記損害金二六万七四一六円及びこれに対する前記不法行為の後であつて本件訴状送達の日の翌日である昭和五一年一一月二〇日から支払ずみまで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。
二 請求の原因に対する答弁及び被告の主張
1(一) 請求の原因1は不知。
(二) 同3のうち、(一)、(二)、(四)は争い、(三)は不知。
(三) 同4は認める。
(四) 同5前段は否認する。
同5後段については、本件テイーシヤツの仕入、印刷等に要した費用の合計額及び本件テイーシヤツの販売による売上金の合計額が原告主張のとおりであることは認め、その余は否認する。
2 本件原画は、その図柄及び甲第一ないし第一〇号証からこれを検討すれば、単なる印刷ないし図案であつて、それ自体から思想又は感情を創作的に表現したものとはいえないものであるし、また、産業用に大量生産することを予定した商品であるテイーシヤツに模様として印刷又は染色することを目的として制作されたものであつて、「美術の著作物」にも「美術工芸品」にも該当しないものであるから、著作権法による保護を受けない。
万国著作権条約第二条第一項の規定は内国民待遇の原則を定めたものであり、わが国の著作権法上の「著作物」に該当しないものは、たとえ他の右条約加盟国において著作物と認められるものでも、わが国においては著作物として保護されないのであつて、このことは著作権法第六条の規定によつても明白であるので、原告の主張は理由がない。
三 被告の主張に対する原告の反論
1 日本国著作権法は美術の著作物を保護の対象としているが、その美術の著作物がどのような目的に使用されるかによつてその保護の範囲を制限するような規定は何ら存在せず、したがつて、仮に本件原画が産業用に大量生産することを予定した商品に利用することを目的として制作されたものであるとしても、著作権法上の「美術性」を備えている限り著作物として保護されるものである。本件原画は前記一3(二)のようにそれ自体として思想又は感情を創作的に表現したものであり、何人も容易に制作しうる着物やネクタイの図柄とは全く異なるものであつて、いわゆる純粋美術の範囲に属するものであるから、日本国著作権法上美術の著作物として保護されるものである。
2 今日においては、伝達手段の著しい発達に伴つて、商品の販売促進のための宣伝方法も著しく多様化し、特に最近においては著作物を商品販売の宣伝に利用することが多くなつたのは顕著な事実である(その結果、裁判所に事件として係属したものも「サザエさん」、「ポパイ」、「ライダーマン」等相当な数にのぼつている。)。これは、今日では一般に商品化権と呼ばれており、テレビ、映画等で流行した著作物のほとんどは、その登場人物(キヤラクター)等が商品販売のための宣伝に利用されているのが実状である。したがつて、現在では、創作者の制作意図とは無関係に、ほとんどすべての著作物が商品販売のための宣伝広告に利用される可能性を有しているといつても過言ではない。このような現状において、いわゆる応用美術は美術工芸品を除き著作権法上保護されないとし、応用美術と著作権法上保護される美術の著作物とを区別する基準として「創作者の制作意図」を重視する立場をとることは妥当ではない。例えば、ある会社が非常に美術性に富んだ図案を、実用品に利用する意図なく制作し、ポスターに掲載して頒布した(ポスターが著作権法上保護の対象とされていることは争いがない。)が、それがたまたま非常に好評だつたので、今度はその図案をテイーシヤツに附して販売したところ、その後第三者が右会社の許諾を得ないで右図案を模倣し同じようにテイーシヤツに附して販売を始めた場合を考えると、前記のような創作者の制作意図を重視する立場を採用すれば、図案を制作する段階では実用品に利用する意図がなかつたのであるから、ポスターに表わされた右図案について著作権を認め、右第三者に対する前記テイーシヤツの販売の差止請求等を認めざるをえないであろう。これに対し、仮に本件原画が当初より実用品(テイーシヤツ)に利用する目的で制作されたとすると、前記のような創作者の制作意図を重視する立場では、右設例の場合とは逆に、当初より実用品に利用する目的で制作されたものすなわち応用美術として著作権法上その著作物性を否定することになろうが、このような結論は妥当とはいい難い(もつとも、右設例の場合も、著作権者がその図案をテイーシヤツに附して販売したとき、すなわち実用品に利用する行為をなしたときに、その図案についての著作権は消滅すると解すれば、本件の場合との背離は小さくなるが、そうすると、客観的に著作権者が図案を実用品に利用する行為をしたか否かを基準として著作物性を判断することになるところ、かかる考え方は、日本国著作権法の下では到底採りえない。)。
右設例の場合は、ある会社が実用品に利用する意図なくして非常に美術性に富んだ図案を制作した場合であるが、「会社」である以上潜在的に実用品に利用する意図があつたと解される可能性もあるので、設例を次のように修正して検討してみる。すなわち、ある会社がすでにでき上がつたある有名画家の絵画の著作権を譲り受け、その絵画を最初は実用品に利用する意図なく自社の宣伝のためにポスターに掲載して頒布したが、それがたまたま非常に好評だつたので、今度はその絵画をテイーシヤツに附して販売したところ、その後第三者が右会社の許諾を得ないでその絵画を模倣し同じようにテイーシヤツに附して販売を開始した、という例の場合には、右会社は右第三者に対し、その絵画の著作権に基づきテイーシヤツの販売の差止等を請求することができることは明らかであろう。この設例の場合と本件の場合とで何ら違いはないはずである。けだし、画家が制作したか商業デザイナーが制作したかの違いによつて結論に差異を見出すことの不合理性は明らかであるからである。してみると、創作者の制作意図を判断の基準とせずに、絵画であるならその絵画自体から、図案であるならその図案自体から著作物性を判断すべきであり、それが現在の実状に適した合理的な解釈なのである。そして本件の場合、実用品(テイーシヤツ)に利用するという制作意図の有無の点は除外して本件原画自体の「美術性」すなわち「著作物性」を追究していけば、本件原画は着物やネクタイの図柄とは異なり、一つの完結した美術作品であり、十分「美術性」を備えていることは疑いの余地がない(商品と切り離して本件原画のみを見た場合、本件原画が美術の著作物であることを疑う人はいないといつても過言ではない。)。したがつて、本件原画が仮に専ら実用品に利用する目的で制作されたものであるとしても、そのことのみを理由として著作物性を否定することは現在の実状を無視した甚だ不合理な解釈であるといわざるをえない。
3 原告は、本件原画を含む原告(の従業員)制作の図案を附したテイーシヤツを販売するための宣伝広告費用として、アメリカ合衆国で平均して年間約四万七〇〇〇ドル、日本国では昭和五一年度に約四二四万円、昭和五二年度に約一七四万円をそれぞれ支出している。被告が本件原画の複製物を模倣してテイーシヤツに模様として印刷し、これを販売したことが著作権侵害にならないとすれば、被告は何ら宣伝広告をせずに原告の右宣伝広告の効果を享受することになり、このような結果は到底容認しえないものである。
第三証拠関係<省略>
理由
一 証人ケネス ステイーブン オースター(以下、「オースター」という。)の証言及び本件口頭弁論の全趣旨によれば、本件原画は、アメリカ合衆国カリフオルニア州法により設立され、同州コスタ メサの肩書地に本店を有し、本件原画のような図案を模様として印刷したテイーシヤツの卸、小売を業とする法人である原告のパートナーたるオースターが、一九七一年(昭和四六年)、原告の販売するテイーシヤツに模様として印刷することを目的として職務上制作したものであり、現に原告は本件原画を模様として印刷したテイーシヤツをそのころアメリカ合衆国内で販売したことが認められるところ、本件原画がわが国の著作権法による保護を受ける著作物といえるかどうかにつき争いがあるので、この点について判断する。
わが国の著作権法は、第六条柱書において、「著作物は、次の各号のいずれかに該当するものに限り、この法律による保護を受ける。」と規定し、第一号から第三号まで掲げるが、そのうち、まず、第一、第二号の適用があるか否かを検討するに、本件原画は、前記のとおり原告のパートナーたるオースターがその職務上制作したものであり、証人オースターの証言及び本件口頭弁論の全趣旨により原本の存在が認められ、その原本が方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認められるから真正な公文書と推定すべき甲第八号証及び証人オースターの証言によれば、本件原画につき原告を著作者、著作権者としてアメリカ合衆国において著作権登録がなされていることが認められ、本件全証拠によるも外に格別の事由も認められないから、本件原画はアメリカ合衆国において著作物として保護され、原告がその著作者であり、著作権者であると認められるところ、前記のように原告はアメリカ合衆国カリフオルニア州法により設立され、同州コスタ メサの肩書地に本店を有する法人であるから、本件原画は右第一号の「日本国民」の著作物とはいえず、したがつて、同号の適用がないこと明らかであり、また、原告が本件原画を模様として印刷したテイーシヤツを一九七一年(昭和四六年)ころ、アメリカ合衆国内で販売したという前記事実によれば、本件原画は、最初にアメリカ合衆国において発行されたものというべく、そして、その発行の日から三〇日以内にわが国内において発行されたことを認めるに足る証拠はないから、右第二号の適用もないこと明らかである。
二 次に、本件原画が著作権法第六条第三号の「条約によりわが国が保護の義務を負う著作物」に該当するか否かを検討する。
1 わが国が加盟している著作権に関する条約で本件で問題になるのは、「文学的及び美術的著作物に関するベルヌ条約」(同条約の各改正条約のうち、本件においては、一九七五年(昭和五〇年)四月二四日からわが国について効力を生じたパリ改正条約が適用される(同パリ改正条約第一八条)。アメリカ合衆国は、各改正条約も含めベルヌ条約には一切加盟していない。以下、右パリ改正条約によつて改正されたベルヌ条約を、単に「ベルヌ条約」という。)と、万国著作権条約(一九五六年(昭和三一年)四月二八日からわが国について、一九五五年(昭和三〇年)九月一六日からアメリカ合衆国についてそれぞれ効力を生じた万国著作権条約、及び一九七七年(昭和五二年)一〇月二一日からわが国について、一九七四年(昭和四九年)七月一〇日からアメリカ合衆国についてそれぞれ効力を生じた「一九七一年七月二四日にパリで改正された万国著作権条約」のうち、本件においては、前者が適用される。)であるが、まず、本件原画がベルヌ条約によりわが国が保護の義務を負う著作物に該当するか否かを検討するに、同条約によりわが国が保護の義務を負うのは、(a) いずれかの同盟国の国民である著作者(いずれの同盟国の国民でもない著作者でいずれかの同盟国に常居所を有するものは、同条約の適用上、その同盟国の国民である著作者とみなされる。)の著作物(発行されているかどうかを問わない。)及び(b) いずれの同盟国の国民でもない著作者の著作物のうち、いずれかの同盟国において最初に発行されたもの並びに同盟に属しない国及びいずれかの同盟国において同時に発行されたもの(最初の発行の国を含む二以上の国において最初の発行の日から三〇日以内に発行された著作物は、それらの国において同時に発行されたものとみなされる。)である(第三条。なお、第四条は本件に関係がない。)ところ、前示のとおり、本件原画の著作者はベルヌ条約同盟国ではないアメリカ合衆国の国民(法人)である原告であり、また、本件原画は、ベルヌ条約同盟国ではないアメリカ合衆国において最初に発行されたものであり、そして、その発行の日から三〇日以内にベルヌ条約同盟国において発行されたことを認めるに足る証拠はないから、本件原画は、ベルヌ条約によりわが国が保護の義務を負う著作物には該当しない。
2 そこで、次に、本件原画が万国著作権条約によりわが国が保護の義務を負う著作物に該当するか否かを検討することになるが、同条約第二条第一項は、「いずれかの締約国の国民の発行された著作物及びいずれかの締約国で最初に発行された著作物は、他のいずれの締約国においても、その締約国が自国で最初に発行された自国民の著作物に与えている保護と同一の保護を受けるものとする。」と規定しており(なお、傍点は当裁判所が附したものである。)、前記のように、本件原画は万国著作権条約の締約国であるアメリカ合衆国の国民(法人)により制作され、同国で最初に「発行」(同条約第六条参照)されたものであるから、本件原画が右第二条第一項の規定にいう「著作物」(前記傍点を附したものをいう。以下同じ。)に当たるとすれば、「いずれかの締約国の国民の発行された著作物」及び「いずれかの締約国で最初に発行された著作物」に該当し、わが国においても「自国で最初に発行された自国民の著作物に与えている保護と同一の保護」を受けることになる(いわゆる内国民待遇の原則)ところ、各締約国の法令により保護を受ける著作物の範囲は各締約国ごとに異なりうるから、ある創作物が右第二条第一項の規定にいう「著作物」に該当するか否かは、その創作物の本国(同条同項にいう「いずれかの締約国」すなわち、その創作者がその国民である締約国及びそれが最初に発行された締約国。以下同じ。本件ではアメリカ合衆国。)の法令により判断するのか、保護が要求されている締約国(同条同項にいう「他のいずれの締約国」。本件ではわが国。)の法令により判断するのか、が問題になるので、この点につきまず検討する。「万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律」(以下、「特例法」という。)は、万国著作権条約の実施に伴い、著作権法の特例を定めることを目的として(第一条参照)、昭和三一年四月二八日から施行されたものであるが、その第三条第二項は「万国条約の締約国の国民の発行されていない著作物又は万国条約の締約国で最初に発行された著作物で、その締約国の法令により保護を受ける著作物の種類に属しないものは、万国条約第二条の規定に基く著作権法による保護を受けないものとする。」と規定(右に「万国条約」とは「万国著作権条約」をいう。特例法第二条第一項)している。この規定は、著作物の保護期間についての相互主義を定める万国著作権条約第四条第四項前段の規定(「締約国は、いずれの著作物についても、発行されていないものの場合にはその著作者が国籍を有する締約国の法令により、及び発行されたものの場合にはそれが最初に発行された締約国の法令により当該著作物の種類について定められている期間より長い期間保護を与える義務を負わない。」)の解釈上、わが国の著作権法により保護される著作物の種類に属するものであつても、例えばアメリカ合衆国の法令により著作物として保護されない種類のものは、アメリカ合衆国の法令上保護期間の全く存しない著作物とみて、結局、発行されていないアメリカ合衆国国民の、又はアメリカ合衆国で最初に発行されたかかる種類の著作物は、わが国においても保護する義務がないこととなるので、この事理を明らかにすべく明文化したものと解される(第二四回国会参議院文教委員会会議録第五号昭和三一年二月二八日参照。)。
右特例法第三条第二項の規定は、内国民待遇の原則を定めた前記万国著作権条約第二条第一項の規定にいう「著作物」に該当するか否かは保護が要求されている締約国の法令により判断することを当然の前提としたうえで、同条約第四条第四項前段の定める保護期間についての相互主義の適用の一場面を明文化したものということができる。けだし、同条約第二条第一項にいう「著作物」に該当するか否かを本国の法令により判断するのであれば、同条約第四条第四項前段の規定についての前記のような解釈の下に特例法第三条第二項の規定を創設する必要はないからである。また、もし同条約第二条第一項の規定にいう「著作物」に該当するか否かを本国の法令により判断するとすれば、保護が要求されている締約国の法令により著作物として保護されていないものも、本国で著作物として保護されている限り、保護が要求されている締約国においても著作物として保護されることになるが、同条約第二条第一項の定める内国民待遇の原則とは、まさに、自国で最初に発行された自国民の著作物に与えていると同一の保護を、他の締約国の国民の発行された著作物及び他の締約国で最初に発行された著作物に与えるというものであつて、自国民に与えている以上の保護を与えるというものではないから、保護が要求されている締約国(自国)においてすら著作物として保護されていない種類のものを保護するというような結果を招来する解釈は採りえない。
してみれば、ある創作物が万国著作権条約第二条第一項の規定にいう「著作物」に該当するか否かは、その創作物の本国の法令ではなく、保護が要求されている締約国の法令により判断すべきものといわなければならない(本国において著作物として保護されていない種類の創作物は、たとえ保護が要求されている締約国の自国民が制作したならば著作物として保護されるものであつても、結局、保護が要求されている国においても保護されない結果となるのは、同条約第二条第一項の規定にいう「著作物」に該当するか否かを本国の法令により判断するからではなく、保護期間についての相互主義を定める同条約第四条第四項前段の規定の解釈のためである。)。
以上によれば、本件原画が万国著作権条約によりわが国が保護の義務を負う著作物に該当するための要件は、第一に、本件原画がわが国の著作権法上客観的に著作物性を有するものであり(万国著作権条約第二条第一項)、第二に、本件原画が本国であるアメリカ合衆国の法令上保護される著作物の種類に属すること(特例法第三条第二項、万国著作権条約第四条第四項前段)ということになる。
したがつて、次に、本件原画がわが国の著作権法上客観的に著作物性を有するものであるか否か(すなわち右第一の要件)について、項を改めて検討することとする。
三 わが国の著作権法第二条第一項第一号は、「著作物」とは「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と定義し、思想又は感情を創作的に表現したものであること、及び文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものであることを著作物であることの要件としている。そして、本件原画は原告の販売するテイーシヤツに模様として印刷することを目的として製作されたものであること前記一前段のとおりであるから、いわゆる応用美術に当たるものである。そこで、このような応用美術が右第二条第一項第一号所定の「美術」に含まれるか否かを検討する。
1 およそ美術は種々の観点から分類されうるが、美的価値に関する純粋性ないしは美的価値と実用的価値という観点から、鑑賞を目的とする純粋美術と、実用に供する物品に応用することを目的とする応用美術とに区分することができる。純粋美術は絵画、彫刻等専ら美の表現のみを目的とするものであるのに対し、応用美術は、単に美の表現のみではなく、装飾又は装飾及び実用を目的とするもの、換言すれば、実用に供しあるいは産業上利用することを目的とする美的創作物をいい、純粋美術に対置されるものとして歴史的にいわば自然発生的に生じてきたものであり、現在のところ、概ね、(一)美術工芸品、装身具等実用品自体であるもの、(二)家具に施された彫刻等実用品と結合されたもの、(三)文鎮のひな型等量産される実用品のひな型として用いられることを目的とするもの、(四)染織図案等実用品の模様として利用されることを目的とするもの等が応用美術に属するものとされている(後記2(一)の「著作権制度審議会答申説明書」第八頁参照。以下、(三)、(四)のものを便宜「実用目的の図案、ひな型」という。)。
2(一) 「著作権制度審議会答申説明書」(昭和四一年七月文部省発行。著作権制度審議会の付託を受けた著作権制度審議会会長主査連絡会に属する委員によつて作成され、昭和四一年四月二〇日付著作権制度審議会答申の趣旨を述べたものとして、右答申の付属書として同審議会から文部大臣に提出されたもの。)によれば、現行の著作権法制定の過程において、応用美術については、第一として「応用美術について、著作権法による保護を図るとともに現行の意匠法等工業所有権制度との調整措置を積極的に講ずる方法としては、次のように措置することが適当と考えられる。(一)「保護の対象」(1) 実用品自体である作品については、美術工芸品に限定する。(2) 図案その他量産品のひな型または実用品の模様として用いられることを目的とするものについては、それ自体が美術の著作物であり得るものを対象とする。(二)「意匠法、商標法との間の調整措置」図案等の産業上の利用を目的として創作された美術の著作物は、いつたんそれが権利者によりまたは権利者の許諾を得て産業上利用されたときは、それ以後の産業上の利用の関係は、もつぱら意匠法等によつて規制されるものとする。」、第二として「上記の調整措置を円滑に講ずることが困難な場合には、今回の著作権制度の改正においては以下によることとし、著作権制度および工業所有権制度を通じての図案等のより効果的な保護の措置を、将来の課題として考究すべきものと考える。(一) 美術工芸品を保護することを明らかにする。(二) 図案その他量産品のひな型または実用品の模様として用いられることを目的とするものについては、著作権法においては特段の措置は講ぜず、原則として意匠法等工業所有権制度による保護に委ねるものとする。ただし、それが純粋美術としての性質をも有するものであるときは、美術の著作物として取り扱われるものとする。(三) ポスター等として作成され、またはポスター等に利用された絵画、写真等については、著作物あるいは著作物の複製として取り扱うこととする。」との答申がなされ、更に右第二の立場について、「今回の著作権制度の改正においては、美術工芸品の保護を明らかにするほかは、おおむね現状を維持することとし、……図案等については、原則として意匠法等による保護に委ね、著作権法においては特段の措置を講じないこととするが、量産品のひな型または実用品の模様として用いられることを目的として製作されたものであつても、それが同時に純粋美術としての絵画、彫刻等に該当するものであれば、美術の著作物としての保護を受けうるものとする。」旨の説明が附されていることが認められる。そして、現行の著作権法においては、結局、答申の前記第一の立場は採用されなかつたものと解され、かかる現行著作権法制定の経緯に照らせば、現行著作権法の解釈としては、応用美術を広く美術の著作物として保護するような立場は採りえないが、しかしながら、実用目的の図案、ひな型が客観的、外形的にみて純粋美術としての絵画、彫刻等と何ら質的に差異のない美的創作物である場合に、それが、実用に供しあるいは産業上利用することを目的として制作されたというだけの理由で著作権法上の保護を一切否定するのは妥当ではなく、応用美術については、前記答申の第二の立場を参考として、美術工芸品の外に実用目的の図案、ひな型で、客観的、外形的に絵画、彫刻等の純粋美術と同視しうる美的創作物が美術の著作物として保護されるものと解すべきである(著作権法第二条第二項は、答申の第二の立場の前記説明に照らすと、少なくとも美術工芸品は美術の著作物として保護されることを明記したにとどまり、美術工芸品以外の応用美術を一切保護の対象外とする趣旨とは解されない。なお、家具、食器等にかかるいわゆるプロダクトデザイン等は現段階においては著作権法による保護の対象となるとは解しえない。)。
(二) しかして、純粋美術という概念自体、種々のものを含みうる概念であり(例えば、極端に抽象的な前衛画、彫刻等もある。)、また、いわゆる応用美術も思想又は感情を創作的に表現した美的創作物であることに変りはない(右のような意味での美的創作物といえない図案、ひな型はそもそも応用美術とはいえない。)から、右「実用目的の図案、ひな型で、客観的、外形的に絵画、彫刻等の純粋美術と同視しうる美的創作物」の意味について更に考えるに、純粋美術、鑑賞美術といわれるものは、前記のように「専ら美の表現のみを目的としたもの」、すなわち「専ら美の表現を追求したもの」であることをその本質的特徴とするものであるが、これに対し、実用目的の図案、ひな型の中には、客観的、外形的にみて、実用に供しあるいは産業上利用する目的のため美の表現において実質的制約を受けて制作されたとみられるものがあり(例えば、商品名、商標、会社名等をその構成に不可欠の要素とした包装紙、商品のラベルの図案等。)、これらは、仮に全体として思想又は感情を創作的に表現した美的創作物といえるものであつても、客観的、外形的にみて「専ら美の表現を追求したもの」という純粋美術の本質的特徴を有するものとはいえず、絵画、彫刻等の純粋美術と同視しうるものということはできない。したがつて、客観的、外形的に絵画、彫刻等の純粋美術と同視しうるものといえるためには、主観的な制作目的を除外して、客観的、外形的にみたときに、専ら美の表現を追求して制作されたものとみられる美的創作物であることを要し、かかる要件を充足する実用目的の図案、ひな型は著作権法上美術の著作物として保護されるが、逆に、実用に供しあるいは産業上利用する目的のため美の表現において実質的制約を受けて制作されていることが客観的、外形的に看取しうるものは、専ら美の表現を追求したもの、すなわち絵画、彫刻等の純粋美術と同視しうるものとはいえず、これらは現行著作権法上著作として保護されず、専ら意匠法、商標法による保護に委ねられるべきものである(なお、実用目的の図案、ひな型で、絵画、彫刻等の純粋美術と同視しうるものについては、著作権法による保護と意匠法、商標法による保護との重複的保護が可能となるが、このような重複的保護は、純粋美術として創作されたものが、後に登録意匠、登録商標として保護される場合にも起りうることであり、何ら不当ではない。)。
(三) 以上のように、応用美術については、現行著作権法は、美術工芸品を保護することを明文化し、実用目的の図案、ひな型は原則として意匠法等の保護に委ね、ただ、そのうち、主観的な制作目的を除外して客観的、外形的にみて、実用目的のために美の表現において実質的制約を受けることなく、専ら美の表現を追求して制作されたものと認められ、絵画、彫刻等の純粋美術と同視しうるものは美術の著作物として保護しているものと解するのが相当である。
四 三に説示した著作権法による応用美術の保護についての解釈を前提に、本件原画が著作権法上美術の著作物といえるか否かにつき判断する。
1 証人オースターの証言、同証言により真正に成立したと認められる甲第一ないし第五号証、第一四号証の一ないし三及び本件口頭弁論の全趣旨によれば次の事実が認められる。
(一) オースターは、原告のパートナーの一員としてカリフオルニア州の原告のオフイスにおいて原告の宣伝用ポスターのデザイン、原告が販売するテイーシヤツに模様として印刷する図案の制作等の職務に従事しているものであり、その職務を果たすために、種々の図案を制作するものであるが、制作の当初においては、使用目的を特に決めずに鉛筆で自由にスケツチを描き、次に多数のスケツチの中から原告が販売するテイーシヤツに模様として印刷するのに適したもの、あるいは原告の宣伝広告用のポスターに適したもの、又は自己の作品として後記の芸術祭や個展などに展示するのに適したもの等をオースター自ら選択し、テイーシヤツに模様として印刷するのに適したものはテイーシヤツ用の原画に仕上げるというように最後にそれぞれの目的に合うように仕上げをする。
本件原画も、オースターが、このようにして描いた多くのスケツチの中から原告が販売するテイーシヤツに模様として印刷するのに適したものとして自ら選択した一つのスケツチを基にして、テイーシヤツに模様として印刷するための原画として仕上げたものである。
(二) オースターは、アメリカ合衆国カリフオルニア州オレンジ郡美術協会の会員であり、その作品は四〇数年の歴史を有し毎年カリフオルニア州ラグナビーチで開催されている芸術祭のシルク・スクリーン部門においてここ数年連続して展示される等カリフオルニア州においてシルク・スクリーン部門のデザイナーとしてその実力が評価されている。
2 証人オースターの証言により本件原画と同様にオースターにより制作され原告によりテイーシヤツに模様として印刷された図案の原画と認められる検甲第七号証(以下、この原画を「原画甲」という。)によれば、原画甲は、上部に「go For lt」の文字を配し、左下方に花の模様を、中心にサーフアーのスピード感あふれる波乗りの姿を描いたもので、全体として十分躍動感を感じさせる図案であり、思想又は感情を創作的に表現したものであつて、客観的、外形的にみて、テイーシヤツに模様として印刷するという実用目的のために美の表現において実質的制約を受けることなく、専ら美の表現を追求して制作されたものと認められる。したがつて、原画甲は、前記三に説示したところにより、純粋美術としての絵画と同視しうるものと認められ、著作権法上の美術の著作物に該当するということができる。
3 証人オースターの証言及び本件口頭弁論の全趣旨により原画甲、本件原画その他多数のオースター制作のテイーシヤツ用の図案を複製したポスターと認められる検甲第五、第六号証及び同証人の証言によれば、本件原画は、原画甲と同種類のものであり、下方に花の模様を、左右両側にイルカの躍動的な動きを配置し、中心に波にのまれそうになりながらバランスをとろうとしているサーフアーの瞬間的な姿を描いたもので、全体として十分躍動感を感じさせる図案であり、思想又は感情を創作的に表現したものであつて、客観的、外形的にみて、テイーシヤツに模様として印刷するという実用目的のために美の表現において実質的制約を受けることなく、専ら美の表現を追求して制作されたものと認められる。したがつて、本件原画は、前記三に説示したところにより、原画甲同様、純粋美術としての絵画と同視しうるものと認められ、著作権法上の美術の著作物に該当するということができる。すなわち、本件原画はテイーシヤツに模様として印刷することを目的として制作されたものではあるが、わが国の著作権法上美術の著作物として客観的に著作物性を有するものであると認められる。
五 そして、本件原画がアメリカ合衆国において著作物として保護されていることは前記一後段のとおりである。
したがつて、前記二2末尾に説示したところにより、本件原画は、万国著作権条約によりわが国が保護の義務を負う著作物に該当し、原告は本件原画についてわが国の著作権法による保護を受けるものである。
六 被告が昭和五〇年六月ころ別紙目録(二)記載の図案をテイーシヤツに模様として印刷し、これを販売したことは当事者間に争いがない。
七 被告が販売した本件テイーシヤツであること当事者間に争いがない検甲第一号証、前顕検甲第五、第六号証及び本件口頭弁論の全趣旨によれば、被告が本件テイーシヤツに模様として印刷した別紙目録(二)記載の図案は、本件原画と全く同一(印刷技術上の理由に基づく色彩むらは別として)のものであることが認められる。そして、原告は、昭和四六年ころ本件原画をテイーシヤツに模様として印刷してこれを販売することにより本件原画をアメリカ合衆国において最初に発行したこと前示のとおりである外、前顕甲第一、第二号証及び証人オースタンの証言によれば、原告は、昭和四八年四月ころ及び昭和四九年一〇月ころに、「SURFER」なる雑誌に、本件原画を含む図案を模様として印刷したテイーシヤツの広告として本件原画を含む多数の図案を掲載したことが認められ、かかる事実及び右のとおり別紙目録(二)記載の図案が本件原画と全く同一のものである事実によれば、被告は、本件原画の複製物に依拠して別紙目録(二)記載の図案を作出したものと推認する外ない。されば、被告は別紙目録(二)記載の図案を本件テイーシヤツに模様として印刷したことにより本件原画の複製権を侵害したものというべく、そして、通常人であれば、他人の販売するテイーシヤツに模様として印刷された図案を自己の販売するテイーシヤツにそのまま印刷(複製)するについては、それを著作権法上の利用許諾と呼ぶかどうかは別として何らか権利者の承諾を得る必要があるのではないかとの考えを抱くのが当然であり、にもかかわらず、被告が、右のように本件原画を複製するに当たり、権利の有無や所在につき意を払い、調査をした(程度の如何を問わず)とか、権利者の承諾を得ようと考えあるいは得ようと努力したとかいう事実についてさえ全く主張、立証のない本件においては、右複製権侵害の行為につき被告に故意があつたものというべきであり、更に、被告は、このようにして自らの故意による複製権侵害の行為によつて別紙目録(二)記載の図案を印刷した本件テイーシヤツを自ら販売したのであるから、複製権侵害の行為によつて作成された物を情を知つて頒布したものというべく、本件原画の複製権を侵害したものとみなされる。
よつて、被告は、右不法行為によつて原告が被つた損害を賠償すべき義務がある。
八 前記のように原告は本件原画を模様としてテイーシヤツに印刷し、これを販売していたものであるから、著作権法第一一四条第一項の規定により、本件テイーシヤツの販売により被告が得た利益の額が原告が被つた損害の額と推定されるところ、本件テイーシヤツの仕入、印刷等に要した費用の合計額が一六一万三六〇〇円であり、本件テイーシヤツの販売による売上金の合計額が一八八万一〇一六円であることは当事者間に争いがなく、これによれば、右売上金の合計額から仕入、印刷等の費用の合計額を控除した二六万七四一六円をもつて本件著作権侵害行為により被告が得た利益の額と認めるのが相当であり、原告はこれと同額の損害を被つたものと推定される。
九 よつて、前記損害金二六万七四一六円及びこれに対する本件不法行為の後である昭和五一年一一月二〇日から支払ずみまで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金の支払を求める本訴請求は理由があるからこれを認容することとし、訴訟費用の負担につき、裁判上の和解成立前の相被告との間で和解が成立したこと、及び被告に対する別紙目録(二)記載の図案の使用の差止請求を取下げ、かつ当初の金二〇〇万円の損害賠償請求を減縮したことを勘案して、民事訴訟法第八九条、第九〇条前段の規定を適用し、仮執行の宣言につき同法第一九六条第一項の規定を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 秋吉稔弘 水野武 設楽隆一)
目録(一)<省略>
目録(二)<省略>